移情閣友の会

5月19日に2013年第一回公開文化講座を開催しました。

「一般知識人の動向から見た現代中国」を聞いて
 移情閣友の会、公開文化講座が5月19日(日)に移情閣講義室にて開催された。
 講師は神戸大学人文学部で近現代中国を専門に研究、指導されており、孫文記念会代表もされておられる緒形康教授でした。参加者は16名で、最近の沖縄県尖閣諸島における日中摩擦に絡んで本当のところはどうなのだとの気持ちから興味深く聴講しました。講演終了後の参加者からの質問も相次ぎました。
 中國では新左派・自由主義論争があり、WTO加盟、物権法等の実現が自由主義者の獲得した成果である。グローバリズムに参入して経済的自由の一層の発展を主張したが、新左派はアメリカ一極中心主義のグローバリズムと国際資本主義の打破が先決と主張して対立している。自由主義者の政治綱領は2008年の「08憲章」序文に良く表れている。「統治集団は引き続き権威主義統治を維持し、政治改革を拒絶している。そのため、官僚は腐敗し、法治は実現せず、人権は色あせ、道徳は滅び、社会は二極分化し経済は奇形的発展をし、自然環境と人文環境は二重に破壊され、各種の社会矛盾が蓄積し続けている・・・」との主張である。
 2008年の世界金融危機への対応の中で新左派は自由主義者が実現したグローバル規範を共産党のヘゲモニーによって統制する方法を見出した。グローバル中国の3つの属性は、①共和国、②多民族国家、③社会主義であり、1949年の共産革命や、1911年の辛亥革命による中華民国より遥か昔の18世紀以前の帝国時代の統治技術(儒教)や領土観念を継承しようとしている。中国は広大な版図が割れることは考えられないし、望んでもいない。
 習近平の「中国の夢」との言葉のなかに内包されているのは、このような帝国の理念を継承した21世紀の新しい国家建設への志向である。今後の日中関係の改善はこの視点からの強固な哲学と、戦略的思考無しには語れないとの気持ちを強く持った示唆に富む講演であった。(中文同好会会員、元吉治夫)


移情閣,孫文,記念館
Posted by 移情閣友の会 at 2013年06月26日 17:25お知らせ
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