移情閣友の会

中国文化史第7回セミナーを終えて

2015年1月11日(日)14時から16時までに神戸舞子学院で開催された中國文化史セミナーは、今回で7回目。移情閣(孫文記念館)の西村成雄・副館長による「孫文・毛沢東と伝統的政治思想」について、講義を頂きました。
 
 先ず初めに、孫文が重視(拳拳服膺)した言葉、「天下為公」の説明から。舞子にある移情閣(孫文記念館)の玄関先に孫文揮毫の碑「天下為公」があります。周知のとおり、 孔子がいう「大同社会」は礼記・礼運編で論じられ、康有為が完成したものです。内容は「天下は公民のものであり、平和な大同の社会が、ユートピアである」とする。この夢の構図が現代中国で近代中国において、さまざまな創造的解釈がなされ、孫文の三民主義や、毛沢東の政治思想などが受け皿となって、「天下為公」は、ややもすれば、「天下為家」とされたり「天下為党」となる等の紆余曲折を経つつも、「大同」をそれぞれ独自に継承されつつ、現代中国の思想的資源となっていると説明されました。
 一方、21世紀中国をどう読み解くかにも触れられ、WTO加盟後の国際社会への参入後、「世界の中での中国」という捉え方が一般化しつつある中で、旧来からの自意識である「中華世界」感がなお残りつつも、国際社会に親和する国民国家への傾斜という新たな国際的な関係性にも注目されると、詳細なデーターに基づき、分かりやすく説明して頂きました。
 
 政治的経済的関係性を理解する背景として、1820年時点から現代に至る「200年中国」のGDP統計(アンガス・マディソン統計)を参考に説明がありました。1820年に中国とインドで世界の半分のGDPを占めており、現在は再び200年前の配置比率に向かいつつある、と。その他のアジアを含めると、200年前59.3%⇒2030年には53.3%と予想され、GDP統計の衝撃的なトレンドを改めて知らされた次第です。
 
 清末⇒中華民国⇒中華人民共和国の連続性を考慮し、政治体制の動態を概観できました。特に、中国の「大同思想」を理解し、20世紀に遭遇した様々な邂逅を振り返り、じっくりと考えるよい機会となりました。 (大和 齊記) 
中国文化史第7回セミナーを終えて
 <お知らせ>
 中国文化史セミナー2月の開催予定は下記のとおりです。
 参加費は1回2,000円です。時間:14-16時、会場:神戸舞子学院
*2015年2月8日(日)  テーマ:『世界の華人、日本の華僑』 講師:陳 来幸 兵庫県立大学教授
*2015年2月22日(日) テーマ:『魯迅の「故郷」を訪ねて』  講師:山田 敬三 神戸大学名誉教授
 お名前・ご住所・電話番号またメールアドレスを記入の上、神戸舞子学院事務局までお申込み下さい。
 TEL&FAX : 078-955-7016(受付時間:13:00-20:00)
  E-mail : maikogakuin@hyogo.zaq.jp


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Posted by 移情閣友の会 at 2015年01月28日 11:10同好会
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