「中国の女性演劇・越劇」リアルな問題に観客共感
越劇同好会代表・神戸学院大学人文学教授 中山 文
私の研究テーマは中国の現代演劇です。なかでも越劇という女性ばかりで演じられる地方劇を対象としています。20世紀初頭に浙江省の小さな地方劇として生まれた越劇は、1940年代に上海へ進出し、女性ミュージカルに変貌して人気を集めました。その優美な音楽と華やかな舞台は今も中国全土に多くの熱烈なファンをつかんでいます。
越劇はつねに時代と女性観客の変化に応じて題材を広げてきました。スタイルが似ているので「中国の宝塚」とよばれることもありますが、男女のラブロマンスだけではなく、あらゆる面から女性の人生を描きます。出世を望む夫に殺害された糟糠の妻、肉体労働で娘に学費を送る非常勤講師、仕事に熱中するあまり子育てに失敗した女社長、相互依存から逃れられない母と娘……時代も国も越える女性のリアルな問題が描かれ、歌われ、観客は共感して涙するのです。越劇を通して、自分と中国の女性たちとの距離がぐっと近づきました。
私の研究を後押ししてくれたのが、神戸舞子にある孫文記念館(移情閣)です。明石海峡大橋のたもとに佇む美しい六角形の建物では二胡やコーラスなど多くの同好会が活動し、年間を通して日中文化交流が盛んに行われています。
2009年、移情閣友の会25周年記念行事として上海越劇院の男役スター章瑞紅さんが招かれ、越劇のワンマンショーが上演されました。その解説を依頼されたことがご縁となり、2011年に私も越劇同好会を発足させました。その活動が推進力となり、今年3月に日本初の越劇入門書として『越劇の世界――中国の女性演劇』(水山産業出版部)を上梓することができました。今秋11月26日(土)には神戸学院大学で越劇上演「梅花賞版『梁山伯と祝英台』」を上演いたします。ぜひ多くの方にご来場いただき、中国の美しい文化を知っていただきたいと望んでいます。(毎日新聞投稿記事より)
"越劇の世界:梅花版『梁山伯と祝英台』
11月26日(土)15:00開演
会場:神戸学院大学有瀬キャンパス メモリアルホール(9号館6階)
出演/陳雪萍(杭州越劇院)、陳飛(紹興小百花越劇団)、鄭曼莉(温州越劇団)
浙江省の小さな地方劇として生まれた越劇は、1940年代に上海へ進出し、女性ミュージカルに変貌して人気を集めました。今や越劇は京劇に次ぐ第二の劇種に成長しています。宝塚歌劇と同様に男女の愛情をテーマとする名作が多く、その優美な音楽と華やかな舞台は、中国全土に多くの熱烈なファンをつかんでいます。なかでも『梁山伯と祝英台』は中国の『ロミオとジュリエット』として親しまれている越劇の代表作です。
今回の見どころは、この珠玉の名作を陳雪萍(男役)、陳飛(娘役)、鄭曼莉(父親役)という3人の梅花賞受賞者の競演で上演することでしょう。「梅花賞」とは、中国演劇界が俳優に与える最高の演技賞。受賞俳優は一流の中の一流と認定された存在です。今回、越劇の梅花賞受賞者3人が顔をそろえての上演は日本初になります。真のトップ俳優が繰り広げる越劇の世界、心行くまでお楽しみください。
(PDF: 1351.66KB)
移情閣,孫文,記念館
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