移情閣友の会

陳舜臣氏を偲ぶ「桃源忌」に集いました。

 昨年に引き続き《陳舜臣氏を偲ぶ集い》を神戸舞子学院で開催。
陳舜臣氏の小説『桃源郷』に因んで、毎年、命日1月21日が「桃源忌」とされています。この1月15日に、40人以上の方が、神戸舞子学院に参集されました。今回は移情閣(孫文記念館)友の会の「中国文化同好会」との共催となりました。
 集いは、宮崎政義氏による「草原情歌」とベートヴェンのメヌエットの バイオリン演奏から始まり会場には陳舜臣アジア文藝館よりお借りした思い出の写真などが多数展示されました。
 講師は、橘雄三氏(孫文記念館元事務局長)と山田敬三氏(友の会顧問・神戸大学名誉教授)が担当され、それぞれに熱のこもった講演に聴衆の興味を引きました。
① 橘雄三氏(陳舜臣『囚人の斧』をめぐって
    クライマックスの舞台―移情閣での呉錦堂と孫文の対話に迫りました。
② 山田敬三氏「陳舜臣の桃源郷」
    作家陳舜臣の描いたユートピア像の変遷を作品から読み取りました。

 橘氏は、特に『囚人の斧』という陳舜臣さんの小説の中に、実在人物として呉錦堂や移情閣そして孫文が登場していることを指摘され、その固有名詞を発見した時は、思わず欣喜したと説明されました。また、鐘紡の仕手株をめぐって、呉錦堂と鈴木久五郎との争いなどの事実も陳舜臣さんの小説に登場。 1913年に呉錦堂の旧松海別荘(移情閣の前身)で孫文を招き、記念写真撮影の際の、孫文から呉錦堂への呟きの意味するものは何か・・、小説の中に両者の心の距離感まで描かれている事実など詳細に指摘され、興味ある問題を提示されました。ここで、陳舜臣さんが、孫文、呉錦堂、移情閣などにも知悉されていたことを知らされました。

 山田氏は、陶淵明の作品『桃花源の記』に描かれたユートピアを題材にした小説『桃源郷』に、着目されます。冒頭、『桃花源の記』の音読と詳細な解説をされ、その上で陳舜臣さんが小説でアピールしたかったことは「桃源郷は探し求めるものでなく、人がつくるもの」と云い、国家・民族・宗教の違いを超えたところに理想郷、つまりコスモポリタンの世界を切望していると強調されました。
 さて、陳舜臣氏の文学には、独特の深みと国際性が内在、一方では、アジアとの友好活動に熱心で、神戸にアジアの交流拠点に、神戸から日本の文化の発信をと精力的な活動をされてきました。その遺産を受け継ぐ皆様の熱い思いも、今回の開催を盛り上げた一因ではなかったかと拝察しています。(元孫文記念館事務局長・中国文化同好会会員・神戸舞子学院 大和 齊 記)

陳舜臣氏を偲ぶ「桃源忌」に集いました。
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Posted by 移情閣友の会 at 2017年01月26日 12:24同好会
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